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第10話 反射で、殲滅

Author: みだん
last update publish date: 2026-08-29 04:50:45

馬車の扉が、外から叩かれた。

「殿下。街道の左手、森林帯より魔獣の群れ。数、およそ四十」

「種は」

「灰狼です。それと――大型が一体」

「規模が合わないな」

アルヴィス様は短く言って、外套を掴んだ。

「季節外れだ。

何かに追われて出てきたか、あるいは誰かが押し出したか」

「はっ」

「隊列を組め。馬車は動かすな。ヴィオレット嬢、失礼」

彼は私の手を取り――ではなく、私の膝に薄い毛織の掛け布をかけた。

「え」

「肌寒くなる。外は騒がしくなるが、心配は要らない。少し待っていてくれ」

そして、扉を開けて出ていった。

私は掛け布を膝に載せたまま、しばらく動けなかった。

*

外は、たちまち慌ただしくなった。

金属の触れ合う音。

指示を飛ばす声。

馬のいななき。

天幕を畳む音。

私は窓に寄って、外を覗いた。

騎士たちが素早く展開していく。

無駄がなかった。

中央にアルヴィス様が立ち、右手を軽く上げるだけで、

隊がひとつの生き物のように形を変える。

――強い。

そう思った。

指揮が、ではない。

彼自身が、だ。

立ち方で分かる。

足の置き方、重心の残し方、視線の配り方。

あの人はたぶん、この場の誰より
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